骨粗しょう症 トピックス 【 Vol.21】

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男性は骨粗しょう症にかかりにくい?

〜だから平気、は禁物。十分な注意が必要です。

2018年8月16日

男性も60歳を過ぎたら骨粗しょう症のリスクが高まってくる

骨粗しょう症は女性に多いことは、このトピックスでも度々触れてきましたが、男性も決して安心はできません。男性も高齢になるにつれ、骨粗しょう症を発症する人が増えてきます。男性が骨粗しょう症になって転倒すると、女性よりも大きな障害を受けやすいという傾向があります。「男だから骨は丈夫」という油断は禁物です。

日本国内の骨粗しょう症患者の推計は約1,280万人、うち女性が980万人、男性が300万人程度とされています。たしかに女性の方がかかりやすい病気ですが、発症している人の4人に1人は男性ということを考えると、決して油断はできないのです。

男性は女性に比べて骨格が大きく太いということもあり、若いときの骨量の貯金が女性に比べてたくさんあります。また、女性の閉経のような急激な女性ホルモンの変化もないため、骨量減少のペースは女性よりもゆるやかではありますが、高齢になればなるほど男性も骨粗しょう症になる人が増えるのです。

男性の場合、60歳を過ぎた頃から危険信号が点滅し、70歳以降になると女性の発症数のおよそ半分程度の割合で骨粗しょう症になっています。さらに80歳頃には骨量が若いときの70%ほどに低下し、男性でも骨粗しょう症を生じる人が多くなります。

また、骨粗しょう症の発症に関連する糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかる割合や、骨の健康に影響する喫煙や飲酒をする割合は、女性よりも男性の方が高い傾向にあるため、その点からも十分な注意が必要です。

男性の骨粗しょう症は女性よりも重症な状態を招きやすい

高齢になると、男性も女性も筋力の低下やバランス感覚が衰え、転びやすくなります。特に骨粗しょう症の人は骨がもろくなっているために、ちょっと転んだだけでも骨折につながってしまいます。特に男性の方が体格も大きく動きも激しいため、転倒した際に強く体をぶつけて骨折や頭部の外傷を引き起こしやすいといえます。治った後でも「また転んだら怖い」という思いから、家に閉じこもってしまうケースは男性の方によく見られます。

結果として、体を動かさないため筋力・持久力が低下し、骨や心肺機能など体全体の機能の衰えや精神的な落ち込みにもつながりやすくなります。 場合によっては要支援・要介護の状態になる可能性もあります。

高齢男性が骨折しやすい部位は女性と同じく椎体(背骨)、大腿骨近位部(太もものつけ根:大腿骨頸部も含む)、上腕のつけ根、手首です。

特に、太もものつけ根の骨折は要支援・要介護状態につながりやすいだけに、骨粗しょう症で起こる骨折の中では、もっとも注意が必要です。また、背骨には脊髄が通っているため、背骨を骨折すると神経を圧迫して歩行障害や排尿障害などの症状が現れたり、内臓を圧迫したりして、骨折以外の障害が生じる可能性もあります。

男性の場合、70歳を過ぎると骨折の危険性がより高くなりますので、早くから骨折予防が必要なことは、女性も男性も同じなのです。