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検査と診断

検査の方法

問診
医師から骨粗しょう症に関する質問があります。現在気になっている症状に関すること以外にも、閉経時期や病歴、食事や運動、生活習慣に関することなど様々ですが、これらは診断する上で大切な手がかりとなります。

骨密度検査
「骨密度」は、骨の強さを判定するための代表的な指標です。 骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。 骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。

DXA(デキサ)法

ロコモティブシンドロームの原因(骨粗鬆症)

エネルギーの低い2種類のX線を使って測定。全身のほとんどの骨を測ることができます。 一般的に腰の骨(腰椎)や脚のつけ根(大腿骨近位部)の骨密度を正確に計測して表わされます。
※前腕のみのDXAもあります

超音波法

ロコモティブシンドロームの原因(骨粗鬆症)

かかとやすねの骨に超音波をあてて測定します。 骨粗しょう症の検診に用いられることが多く、X線を使用していないため、妊娠中の方でも測定することができます。

MD(エムディ)法

ロコモティブシンドロームの原因(骨粗鬆症)

X線を使って、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比べることによって測定します。 診療所などで容易に計測できるため、普及しています。

骨密度検査は、骨の健康を知る上で重要な手がかりです。 特に女性は症状が無くても、40歳以上になったら定期的に骨密度を測ることをお勧めします。(骨密度検診)

レントゲン検査
主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗しょう化※の有無を確認します。骨粗しょう症と他の病気とを区別するためにも必要な検査です。
※骨に、鬆(す)が入ったようにスカスカになること

身長測定
25歳のときの身長と比べどのくらい縮んでいるかは、骨粗しょう症を診断するうえでの指標になります。

血液・尿検査
骨代謝マーカーという検査により、骨の新陳代謝の速度を知ることができます。骨代謝マーカーは血液検査、尿検査によって測定されます。骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速いことから、骨密度の値にかかわらず骨折の危険性が高くなっています。 この検査は、骨粗しょう症を他の病気と区別するためにも行われます。

骨粗しょう症の診断

骨粗しょう症は主に骨密度と骨折の有無によって診断されます。骨折は本人が自覚していない脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折※の場合もあり、診断のためにはレントゲン検査が必要になります。
※脆弱性骨折:転倒、もしくはそれ以下のわずかな外力で生じた骨折

診断基準※原発性骨粗しょう症

脆弱性骨折がある場合

  • 背骨(椎体)、または脚の付け根(大腿骨近位部)の骨折
  • その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満

脆弱性骨折がない場合

  • 骨密度がYAMの70%以下、または―2.5SD(標準偏差)以下

YAM : 若年成人平均値(腰椎/20∼44歳、大腿骨近位部/20∼29歳)
骨密度は原則として腰椎骨密度、もしくは大腿骨近位部骨密度

骨の強さは「骨密度」+「骨質」

骨粗しょう症は、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気とされていたため、予防にあたっては「骨密度」を中心に考えられていました。
しかし、骨密度が正常範囲であるにもかかわらず、骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり、その原因を調べると、人によって「骨質(こつしつ)※」に違いがあることが明らかになってきました。
そこで、骨粗しょう症の定義は「骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気」とあらためられ、「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していると説明されるようになりました。
つまり骨粗しょう症は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響しあって骨折リスクが高まる病気といえます。
※骨質:骨の微細構造、骨代謝回転の速さ、微小骨折の有無、石灰化の密度により示されます。

骨の強さに影響するコラーゲン架橋
「骨」といえばカルシウムを連想しがちですが、骨の体積の50%は、コラーゲンです。
仮に骨を鉄筋コンクリートの建物とすると、カルシウムはコンクリートで、コラーゲンはコンクリート内に埋まっている鉄筋となります。
鉄筋(コラーゲン)の強さを左右するのは、鉄筋同士をつなぎとめるコラーゲン架橋で、これはいわば梁(はり)の役目をして、建物全体の強さにまで影響を及ぼしています。 さらに、このコラーゲン架橋には「善玉架橋」と「悪玉架橋」があり、悪玉架橋が増加すると、コラーゲン同士のつなぎとめが弱くなり、しなやかさが失われ、硬くてももろい、折れやすい状態となってしまいます。
悪玉架橋は加齢とともに増えるほか、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病によっても増えることが分かっています。こうした生活習慣病の患者さんでは、骨密度検査で正常に近い結果が出ても骨折リスクが高いことがあります。